M&Aでお客様を引き継いで感じたこと
先日、私の会社では鹿児島県内のある地域でLPガスを供給していた会社の事業を引き継ぐことになりました。
対象となるお客様は約300世帯。しかし、事業を引き継いで実際に開栓手続きのために訪問してみると、想像していた以上に厳しい現実が見えてきました。
訪問したお宅では9割9分高齢者のお客様です。若い方を見る機会がまったくありませんでした。またガスの使用用途もコンロだけというケースが目立ちました。お風呂のお湯は灯油ボイラーを使用されているご家庭が多かったのです。
LPガス会社にとって、ガスの使用量は売上を左右する重要な要素です。コンロだけの使用ではガスの消費量が少なく、毎月の売上も限られます。
さらに、この高齢者が今後どのくらいの期間ガスを使い続けていただけるのか、予測することも簡単ではありません。
もちろん、高齢のお客様が多いからといって、すぐにガスの利用が終わるわけではありません。しかし、人口減少や世帯数の減少が進む地域では、長期的な事業計画を立てることが難しくなります。
「この地域は高齢者しかいないのよ」
訪問先のお客様から、こんなお話を聞きました。
「過疎エリアだから、このあたりは高齢者しかいないのよ。そして買い物も車で15分くらいのところまで行かないといけないし、とても不便」
この言葉を聞いて、地域が抱える問題を改めて実感しました。
人口が減少し、高齢者の割合が高くなる。買い物をするにも車が必要で、生活するうえで不便なことも多い。若い世代が減れば、新しい住宅が建つ機会も少なくなり、地域全体のエネルギー需要も縮小していきます。
こうした環境のなかで、小規模なLPガス会社が単独で事業を継続していくことは、決して簡単ではありません。
ガスの販売だけでなく、検針、集金、保安点検、設備の維持管理など、供給世帯数が少なくなっても必要な業務は数多くあります。お客様が減っても、事業を維持するための費用が同じ割合で減るわけではないのです。
今後、LPガス業界のM&Aは加速するのか?
鹿児島県内には、LPガス会社が数多く存在します。民間のガス会社検索サイトでは456社という掲載件数も見られますが、これは実際の事業者総数を示す公的な統計とは異なります。
一方で、人口減少や高齢化、後継者不足といった問題は、地域のLPガス会社にとって無視できない課題です。
今後は、事業を継続するために他社との統合やM&Aを選択する会社が増えていく可能性があります。
会社を譲り受ける側にとっても、単純に顧客数が増えればよいというわけではありません。配送や保安業務の効率化、営業エリアの見直し、設備の維持費用などを考慮し、採算が取れる体制を構築できるかが重要になります。
地域のエネルギーを守るために
今回の経験を通じて感じたのは、LPガス会社のM&Aは単なる企業同士の売買ではないということです。
地域の高齢者にとって、LPガスは毎日の食事を支える大切なエネルギーです。会社がなくなって供給や保安体制が維持できなくなれば、お客様の生活にも影響が及びます。
だからこそ、事業を引き継ぐ会社には、採算性だけでなく、地域の暮らしを支える責任も求められます。
人口減少が進む鹿児島県において、LPガス業界のM&Aは今後ますます重要なテーマになるのではないでしょうか。
皆さんは、過疎地域のエネルギー供給を今後どのように維持していくべきだと思いますか?
地域の暮らしとLPガス会社の経営。その両方を守るための取り組みが、これから必要になっていくと感じています。
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