近年、系統用蓄電池や家庭用蓄電池への注目が高まる中、「容量市場(ようりょうしじょう)」という言葉を耳にする機会が増えています。
「蓄電池は容量市場でも稼げる」
「需給調整市場とは違うの?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
容量市場は、実際に電気を売る市場ではありません。
「将来、必要な時に電気を供給できる能力(供給力)」に対して報酬が支払われる市場です。
この記事では、容量市場の仕組みや蓄電池との関係、今後の将来性についてわかりやすく解説します。
容量市場とは?
容量市場とは、
将来の電力供給能力(容量)を確保するための市場です。
簡単に言えば、
「もし電気が足りなくなったら、いつでも供給できますよ」という約束に対して報酬が支払われる仕組み
です。
つまり、
実際に発電しなくても、
供給できる状態を維持していれば報酬を受け取れる場合があります。
なぜ容量市場が必要なの?
近年、
- 太陽光発電
- 風力発電
など再生可能エネルギーが急速に増えています。
一方で、
火力発電所は
- 老朽化
- 採算悪化
- 脱炭素政策
などにより廃止が進んでいます。
しかし、
真夏や真冬には
電力需要が急激に増えることがあります。
その時、
発電所が不足すると、
停電につながる恐れがあります。
そこで、
将来必要になる供給力を事前に確保するため、
容量市場が設けられました。
容量市場のイメージ
例えば、
夏の猛暑日
↓
電力需要が急増
↓
発電所だけでは足りない
↓
蓄電池や発電設備が稼働
↓
停電を防ぐ
このため、
事前に
「いざという時に動けます」
という設備を確保しておく必要があります。
容量市場では誰がお金をもらうの?
主な対象は、
- 火力発電所
- 水力発電所
- 揚水発電
- 系統用蓄電池
- VPP
- DRリソース
などです。
最近では、
家庭用蓄電池をまとめたVPPも参加が進んでいます。
系統用蓄電池が有利な理由
容量市場では
「すぐに電気を供給できる」
ことが重要です。
系統用蓄電池は
数秒〜数分で放電できます。
火力発電所は起動まで時間がかかります。
そのため、
瞬時に対応できる蓄電池は、
今後さらに価値が高まると期待されています。
容量市場の流れ
例えば、
① 4年後の夏に電力不足が予想される
↓
② 容量市場で募集
↓
③ 発電所・蓄電池が参加
↓
④ 落札
↓
⑤ 数年間待機
↓
⑥ 必要時に供給
↓
⑦ 報酬を受け取る
このように、
将来の供給力を前もって契約する仕組みになっています。
卸電力市場との違い
| 市場 | 内容 |
|---|---|
| 卸電力市場 | 電気そのものを売買する |
| 需給調整市場 | 電力バランスを調整する |
| 容量市場 | 将来の供給力を確保する |
それぞれ役割が異なります。
容量市場のメリット
① 安定収益
実際に放電しなくても、
待機能力に対して報酬が得られる可能性があります。
② 電力の安定供給
猛暑や寒波など、
需要が急増する時でも停電リスクを抑えられます。
③ 再エネ普及を支える
再生可能エネルギーは発電量が変動します。
容量市場によって十分な供給力を確保することで、
再エネ導入を後押しできます。
系統用蓄電池は3つの市場で収益を得る
現在、多くの系統用蓄電池は
複数市場を組み合わせています。
卸電力市場
安い時に充電
↓
高い時に放電
↓
利益
需給調整市場
電力会社からの指令で
充放電
↓
報酬
容量市場
待機能力
↓
報酬
つまり、
一つの蓄電池が
複数の収益源を持つ
ことになります。
これが系統用蓄電池が注目されている理由です。
FIT終了後の太陽光発電との関係
FIT終了後は、
売電価格が低下するため、
太陽光発電だけでは収益性が下がる可能性があります。
そこで、
- 併設蓄電池
- VPP
- アグリゲーター
- 容量市場
- 需給調整市場
などを活用することで、
売電以外の収益を目指す取り組みが進んでいます。
今後の容量市場
2050年カーボンニュートラルに向けて、
日本では再生可能エネルギーがさらに増加すると予想されています。
それに伴い、
- 系統用蓄電池
- 家庭用蓄電池
- EV
- V2H
などの分散型エネルギーリソースが、
容量市場で重要な役割を果たすと期待されています。
AIによる需要予測やVPPの普及も進めば、容量市場の重要性はますます高まるでしょう。
まとめ
容量市場とは、将来の電力供給力を確保するための市場です。
実際に発電するだけでなく、「必要な時に供給できる能力」に価値があり、その能力に対して報酬が支払われます。
系統用蓄電池は、瞬時に充放電できる特性から容量市場との相性が良く、卸電力市場や需給調整市場と組み合わせることで複数の収益源を確保できます。
今後、FIT終了後の太陽光発電やVPPの普及が進む中で、容量市場は再生可能エネルギーを支える重要な仕組みとして、ますます注目されるでしょう。


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