近年、系統用蓄電池や家庭用蓄電池への注目が高まっています。
その理由の一つが、「需給調整市場(じゅきゅうちょうせいしじょう)」です。
「蓄電池は需給調整市場で稼げる」
「VPPやアグリゲーターが需給調整市場に参加している」
という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、
- 需給調整市場とは何なのか?
- なぜ蓄電池が収益を得られるのか?
- 卸電力市場との違いは?
このような疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、需給調整市場の仕組みや蓄電池との関係を初心者にも分かりやすく解説します。
需給調整市場とは?
需給調整市場とは、
電力の需要(使う量)と供給(発電する量)のバランスを保つために設けられた市場です。
電気は大量に貯めることが難しいため、
「発電量」と「消費量」が常に一致している必要があります。
もしバランスが崩れると、
- 停電
- 周波数の乱れ
- 電力品質の低下
などが発生する可能性があります。
そのため、電力会社は電力の需給バランスを常に調整しています。
なぜ需給調整市場が必要なの?
近年、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーが急速に普及しています。
しかし、
再エネは
- 晴れの日は大量発電
- 曇りの日は発電量減少
- 夜は発電ゼロ
など、
発電量が安定しません。
そのため、
不足した時には
「すぐに電気を供給できる設備」
余った時には
「電気を吸収できる設備」
が必要になります。
ここで活躍するのが蓄電池です。
蓄電池が活躍する理由
例えば、
午後6時
太陽光発電が終了
↓
家庭では電気使用量が急増
↓
電力不足
この時、
蓄電池が放電すれば、
電力不足を補えます。
逆に、
昼間
太陽光発電が大量発電
↓
電気が余る
↓
蓄電池が充電
このように
電力の調整役
として活躍します。
誰が参加しているの?
需給調整市場には
- 発電事業者
- 系統用蓄電池事業者
- VPP
- アグリゲーター
などが参加しています。
最近では
家庭用蓄電池やEVも、
アグリゲーターを通じて参加するケースが増えています。
需給調整市場の流れ
例えば、
① 電力会社が
「夕方に電気が不足しそう」
と予測します。
↓
② アグリゲーターへ指令
↓
③ 蓄電池へ放電指示
↓
④ 蓄電池が放電
↓
⑤ 電力不足を解消
↓
⑥ 報酬が支払われる
この報酬が、
蓄電池事業者やアグリゲーターの収益になります。
卸電力市場との違い
よく比較されるのが卸電力市場です。
| 項目 | 卸電力市場 | 需給調整市場 |
|---|---|---|
| 目的 | 電気を売買する | 電力の安定供給 |
| 利益 | 電気価格の差益 | 調整力への報酬 |
| 主役 | 発電事業者・蓄電池 | 蓄電池・VPP・発電所 |
| 指令 | 基本なし | 一般送配電事業者から指令 |
簡単に言えば、
卸電力市場は「電気を売る市場」
需給調整市場は「電力を安定させる市場」
です。
容量市場との違い
容量市場とも混同されます。
| 市場 | 報酬内容 |
|---|---|
| 卸電力市場 | 電気を売る |
| 需給調整市場 | 電力を調整する |
| 容量市場 | 将来の供給力を確保する |
それぞれ役割が異なります。
なぜ系統用蓄電池が注目されるの?
系統用蓄電池は
- 発電設備を持たない
- 電気を充放電するだけ
ですが、
需給調整市場では
「瞬時に充放電できる能力」
が高く評価されます。
火力発電所よりも数秒〜数分で対応できるため、
今後ますます重要になると考えられています。
FIT終了後の太陽光発電との関係
FIT終了後は、
売電価格だけでは十分な収益を確保しにくくなります。
そこで、
- 併設蓄電池
- VPP
- アグリゲーター
- 需給調整市場
を組み合わせることで、
新たな収益源を目指す動きが広がっています。
「発電して売る」だけではなく、「蓄え、調整力として提供する」ことにも価値が生まれる時代になっています。
今後の市場はさらに拡大
政府は2050年カーボンニュートラルの実現を目指しており、
再生可能エネルギーの導入は今後も増加すると予想されています。
その結果、
電力の需給調整はますます重要になり、
蓄電池の需要も高まるでしょう。
特に、
- 系統用蓄電池
- 家庭用蓄電池
- EV
- エコキュート
- V2H
などの分散型エネルギーリソースが、需給調整市場で重要な役割を果たすと期待されています。
まとめ
需給調整市場とは、電力の需要と供給のバランスを保つために設けられた市場です。
再生可能エネルギーの普及によって電力の変動が大きくなる中、蓄電池は「調整力」を提供できる設備として高く評価されています。
今後はVPPやアグリゲーターを通じて、家庭用蓄電池や系統用蓄電池が需給調整市場へ参加する機会も増えていくでしょう。
FIT終了後の太陽光発電にとっても、需給調整市場は新たな収益源として大きな可能性を秘めています。

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