大きな地震が発生すると、「ガスは大丈夫なの?」「LPガスが漏れて爆発することはないの?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
実際、地震によってガス設備や配管などが損傷すると、LPガスが漏れる可能性があります。
ただし、「地震が起きる=LPガスが爆発する」というわけではありません。
LPガスの爆発事故が起こるには、ガス漏れだけでなく、漏れたガスが一定の濃度までたまり、そこに火花などの着火源が存在するという条件が重なる必要があります。
また、LPガスには地震などの災害を想定したさまざまな安全装置が設けられています。
この記事では、地震によってLPガスのガス漏れや爆発が起こる仕組みと、事故を防ぐための安全対策について分かりやすく解説します。
地震でLPガスは爆発するの?
結論からいうと、地震そのものがLPガスを爆発させるわけではありません。
危険なのは、地震によってLPガス設備や配管などが損傷し、ガスが漏れ出すことです。
その後、
ガス漏れ
↓
空気中にLPガスが広がる
↓
一定の濃度になる
↓
火花などの着火源がある
↓
燃焼・爆発
という条件が重なると、爆発事故につながる可能性があります。
つまり、地震後のLPガス事故を防ぐためには、
「ガスを漏らさない」
ことに加えて、
「漏れたガスを早期に検知する」
そして、
「ガスの供給を止める」
という複数の安全対策が重要になります。
なぜ地震でLPガスが漏れるのか?
地震によってLPガスが漏れる原因はいくつか考えられます。
1.配管が損傷する
強い揺れによって、建物や設備が大きく動くと、LPガスの配管や接続部分に負荷がかかります。
特に、
- 配管の破損
- 接続部の損傷
- 継手部分の破損
- ガス機器周辺の配管損傷
などが発生すると、ガス漏れにつながる可能性があります。
地震などの災害では、ガス設備だけでなく、周辺の建物や機器そのものが大きく動くため、配管との接続部分にも注意が必要です。
2.LPガス容器が転倒する
LPガスはボンベ(容器)に入れて設置されています。
そのため、大きな地震では容器が転倒したり、設備との接続部分に大きな力が加わったりする可能性があります。
こうしたリスクに対して、LPガス設備では容器の転倒防止対策などが行われています。
高圧ガス保安協会の「LPガス災害対策マニュアル」でも、地震対策として容器の転倒防止、ガス放出防止器、容器プロテクターなどの対策が示されています。
LPガスは空気より重い
LPガスの性質を理解するうえで、重要なのが、
LPガスは空気より重い
という点です。
漏れたLPガスは上空へ拡散するのではなく、床面や低い場所にたまりやすい性質があります。
そのため、
- 床付近
- 溝
- ピット
- 地下空間
などでは、漏れたガスが滞留する可能性があります。
大型施設などでは地下ピットや設備スペースなども存在するため、ガス設備の設計・換気・検知などを含めた安全対策が重要になります。
ガスが漏れただけでは「爆発」しない
ここは誤解されやすいポイントです。
LPガスが漏れたからといって、必ず爆発するわけではありません。
爆発事故につながるには、漏れたガスが空気と混ざって一定の濃度になり、さらに着火源が存在する必要があります。
例えば、
- ガスコンロの火
- ライター
- スイッチなどの電気火花
- 電気設備
- その他の火花
などが着火源になる可能性があります。
そのため、ガス漏れが疑われる状況では、火を使わないこと、電気スイッチなどを不用意に操作しないことが重要です。
LPガスには地震に備えた安全装置がある
では、地震が起きたとき、LPガスはどうやって事故を防ぐのでしょうか。
代表的なものが、
マイコンメーターやガス遮断装置
です。
LPガスの供給設備では、異常なガスの流れや地震などを検知してガスを遮断する仕組みが設けられています。
つまり、
「地震が起きる」
→「異常を検知する」
→「ガスを止める」
という安全対策が取られています。
また、ガス漏れ警報器の中には、ガス漏れを検知すると警報を発すると同時に、ガスメーターなどの遮断弁を閉じてガスの供給を止めることができるタイプもあります。
マイコンメーターとは?
LPガスの安全対策を考えるうえで、知っておきたいのが「マイコンメーター」です。
マイコンメーターは、ガスの使用状況などを監視し、異常を検知した場合にガスを遮断する機能を持つガスメーターです。
例えば、
- 大きな地震
- ガスの異常な流れ
- 長時間のガス使用
- ガス漏れなどの異常
を検知した場合に、ガスを自動的に止める仕組みがあります。
そのため、地震が起きたときに「ガスがそのまま大量に流れ続ける」という事態を防ぐための重要な安全装置となっています。
大型施設では「対震自動ガス遮断装置」も重要
住宅だけでなく、店舗や大型商業施設などでは、より大規模なガス設備が使われています。
そのため、業務用設備では地震を検知してガスを遮断する設備が重要になります。
高圧ガス保安協会のLPガス災害対策資料でも、業務用設備に対する対震自動ガス遮断装置の設置が災害対策として挙げられています。
つまり、大型施設では、
「ガスを使う」
だけではなく、
「異常が発生したときに、どのようにガスを止めるか」
まで含めて安全設計が行われています。
ガス漏れ警報器も重要
もう一つ重要なのが、ガス漏れ警報器です。
ガス漏れ警報器は、LPガスの漏れを検知すると警報音などで知らせる装置です。
早期にガス漏れを発見することで、事故につながる前に対応できる可能性が高まります。
さらに、警報器と遮断装置を連動させることで、
ガス漏れを検知
↓
警報
↓
遮断弁が閉じる
↓
ガスの供給を停止
という仕組みを構築することもできます。
地震後に「ガス臭い」と感じたらどうする?
地震の後に、
「なんとなくガス臭い」
と感じた場合は、絶対に軽く考えないことが大切です。
まず火を使わないこと。
そして、ガス臭がする場所では、電気のスイッチや換気扇などを不用意に操作しないようにします。
安全を確保したうえで、LPガス販売店などに連絡し、点検を受けることが重要です。
「少し臭うだけだから大丈夫」と自己判断するのは避けましょう。
地震後にやってはいけないこと
ガス漏れが疑われる場合は、次のような行動は避ける必要があります。
火をつける
当然ですが、コンロやライターなどを使用してはいけません。
電気スイッチを操作する
スイッチのオン・オフなどで火花が発生する可能性があるため、不用意な操作は避けます。
換気扇を回す
ガス漏れが疑われる場合、換気扇などの電気機器を操作することは避けます。
ガス臭を確認するために近づく
ガス臭の原因を自分で確認しようとせず、安全な場所へ移動して専門業者へ連絡することが大切です。
LPガスは「危険なエネルギー」なのか?
ここまで読むと、
「やっぱりLPガスは危険なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、LPガスだけが特別に危険というわけではありません。
電気にも火災や感電のリスクがあります。
ガソリンにも火災のリスクがあります。
重要なのは、
「エネルギーにはそれぞれ特有のリスクがあり、そのリスクに合わせた安全対策が施されている」
ということです。
LPガスについても、
- 容器の転倒防止
- ガス放出防止対策
- マイコンメーター
- ガス漏れ警報器
- 遮断弁
- 対震自動ガス遮断装置
- 定期的な点検・保安
など、複数の安全対策によって事故を防ぐ仕組みが作られています。
地震に強いLPガスを実現するには
地震大国である日本では、エネルギー設備の「災害への強さ」が非常に重要です。
LPガスの場合も、
① 設備を地震に強くする
↓
② ガス漏れを早期に検知する
↓
③ 異常時には自動的にガスを止める
↓
④ 迅速に点検・復旧する
という多重の安全対策が重要になります。
高圧ガス保安協会もLPガスについて自然災害対策の情報をまとめており、地震による容器の流出や設備被害などを想定した対策が進められています。
まとめ
地震が起きたからといって、LPガスが必ず爆発するわけではありません。
しかし、地震によって配管や設備が損傷し、LPガスが漏れ、そこに着火源が重なると、火災や爆発事故につながる可能性があります。
だからこそ重要なのが、
「漏らさない」
「早く見つける」
「すぐ止める」
という安全対策です。
LPガスには、マイコンメーターやガス漏れ警報器、遮断弁、対震自動ガス遮断装置など、事故を防ぐためのさまざまな仕組みがあります。
大きな地震が発生したときこそ、LPガスを「怖いもの」と考えるだけではなく、どのような安全装置によって事故を防いでいるのかを知っておくことが大切です。
前回ご紹介した熊本地震に関連するLPガス事故についても、事故原因だけを見るのではなく、「なぜガスが漏れたのか」「なぜ遮断できなかったのか」「どのような安全対策が必要なのか」という視点で考えることが、今後の災害対策につながります。
次回は「LPガスの遮断弁とは?地震のとき本当にガスは止まるのか」を詳しく解説します。


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